距骨骨軟骨損傷は,外傷,遺伝的素因,血流障害などが原因となり,距骨の軟骨もしくは骨軟骨が剥がれる疾患である。特に70%の例に外傷との関連があるとされている。
好発年齢は若年者から高齢者と幅広い。特異的な臨床症状・所見はなく,運動時もしくは安静時の足関節痛を訴えることが多い。病変が不安定な場合は,足関節のひっかかり感を訴えることもある。最好発部位は距骨滑車内側で,次が距骨滑車外側である。距骨中央の発生は少ない。距骨滑車内側の病変は,中央からやや後方に位置することが多く,通常の単純X線では病変が隠れて見えづらいことが少なくない。また,距骨滑車外側病変は,中央からやや前方に位置するものの,単純X線正面像では腓骨と病変が重なってしまい診断が困難となることがある。足関節捻挫後に疼痛が遷延し,単純X線で明らかな異常が見つからない場合は,積極的にMRIなどの撮影を推奨する。また,病変の特徴を把握し,治療方針を決定するためにCTの撮影も必要となる。
若年者の場合は保存療法(スポーツ中止,ギプス・シーネ・サポーターなどの外固定)を3~6カ月間行うことが多いが,成功率は低い。特にMRI画像において軟骨下骨の浮腫像,囊胞性病変が存在する例で,保存療法が無効な場合が多い。
手術療法の選択は患者本人の特徴と社会的状況,また,病変の特徴を十分に把握した上で各症例に応じて行う。治療方針を決定する上で必要な画像検査は単純X線,MRI,CTである。MRI画像では病変の軟骨の評価,病変の骨の評価,病変と母床間のhigh signal rim(MRI T2強調像,脂肪抑制像などでみられる病変直下の高信号域)の有無,軟骨下骨の浮腫の有無を評価する。CTでは病変内の骨の評価,軟骨下骨の骨硬化・囊胞形成の有無,病変のサイズ計測を行う。画像上病変があっても無症状の場合は経過観察とする。有症状の場合,治療対象となるが骨端線閉鎖前後では手術療法の選択は異なる。
残り1,282文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する