厚生労働省は8月7日、英国のアストラゼネカ社がオックスフォード大と開発を進める新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」について、開発に成功した場合、2021年初頭から1億2000万回分のワクチンの供給(うち3000万回分は1~3月中に供給)を受けることについて、同社と基本合意に達したと発表した。
アストラゼネカの日本法人(大阪市)は、日本における安定供給に向け、ワクチン原液の調達についてJCRファーマ(兵庫県芦屋市)への製造委託と海外からの輸入を並行して進める方針。
バイアル充填、保管・配送など接種に必要な準備は、第一三共、第一三共バイオテック、Meiji Seikaファルマ、KMバイオロジクスが行うなど、パートナー企業と連携しながら生産能力の増強に取り組む。
AZD1222は、複製できないよう処理したチンパンジー由来のアデノウイルスを利用し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白を形成する遺伝子を身体に入れることで免疫をつけ、感染の防御を狙うウイルスベクターワクチン。
第Ⅰ/Ⅱ相試験で「強固な免疫反応」の生成を示すデータが得られており、現在、第II/III相試験が英国、ブラジル、南アフリカなど各国で進められている。日本でも、日本人に接種した場合の安全性と有効性を評価する第Ⅰ/Ⅱ相試験が8月中にスタートする予定。
厚労省は「今回の基本合意は、アストラゼネカ社との間で供給量等の基本的な事項に関して合意を得たものであり、今後、最終契約に向けて速やかに協議を進めていく」としている。
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