2020年2~5月のレセプト件数を過去2年間の同時期と比較すると、医科、歯科、調剤いずれも4月以降減少傾向にあることがわかった。新型コロナウイルス感染症の影響とみられ、医科の20年4月および5月のレセプト件数は過去2年間の同時期に比べて8割程度の水準にまで落ち込んだ。特に外来での減少が目立つ。厚生労働省が8月19日の中央社会保険医療協議会総会に報告した。
社会保険診療報酬支払基金の統計月報と国保連合会の審査支払業務統計のレセプト確定件数をもとに、20年4~5月のレセプト件数の前年同月比および前々年同月比を機械的に算出した。医科は感染が広がり始めた3月から減少局面に入り、前年同月比は▶3月/89.8%、▶4月/81.0%、▶5月/79.1%で推移。前々年同月比でも、▶3月/90.5%、▶4月/84.9%、▶5月/79.3%―と減少幅が徐々に拡大しつつある。入院・外来とも減少しているが、外来の減少幅のほうが大きく、入院の5月の前年同月比は85.7%、前々年同月比は85.5%だったのに対して、外来は前年同月比79.0%、前々年同月比は79.1%となっている。
病院と診療所の違いによる大きな差はないが、診療科別では小児科、耳鼻咽喉科、眼科での落ち込みが大きかった。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う診療報酬上の特例措置の活用状況も報告された。厚労省が4月18日付で行った事務連絡に基づいて、感染患者受け入れのために、「特定集中治療室管理料」などと同等の人員を配置した病棟に、感染患者や本来当該入院料の算定病棟に受け入れるべき患者を入院させた場合は、簡易な報告を行うことで、該当する入院料の算定が可能になっている。同省によると、4月18日から8月1日までに実施された「簡易な報告」の総数は6142件。入院料別の内訳は、▶「ハイケアユニット入院医療管理料」4751件、▶「救命救急入院料」839件、▶「特定集中治療室管理料」552件―だった。