手術成功率80%は10人中2人、90%は10人中1人、95%は20人中1人、97.5%は40人中1人に合併症が生じる。当たり前のことであるが、これをみると、到達した手術成功率が高いほど、手術成功率の向上が難しくなることがわかる。
小児泌尿器科において、手術成功率の向上に苦労する疾患のひとつに尿道下裂がある。尿道下裂は男性の尿道が完全に形成されず、外尿道口は陰茎腹側に位置し、多くの場合、陰茎は屈曲するため、立位排尿や将来の性交に問題が生じる可能性がある疾患である。高度な尿道下裂では外尿道口が陰囊付近に開口し、陰茎は90°に屈曲する場合もある。
尿道下裂形成術は陰茎の屈曲をなくし、形成されていない尿道に相当する、新しい尿道をつくる手術である。手術を表現するのは容易く、手術書には簡単に手術ができそうなイラストが描かれている。しかし、新尿道という内径約3mmの管腔をつくる再建術は非常に繊細な手技を要する、難易度が高い手術である。また、尿道のみならず、術後の陰茎外観にも配慮する必要がある。
残り422文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する