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【私の一曲】『A State of Wonder』

No.4706 (2014年07月05日発行) P.78

満屋裕明 (熊本大学医学部内科学血液膠原病内科主任教授/国立国際医療研究センター理事・臨床研究センター長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • グレン・グールド没後20年・生誕70年の記念アルバム。グールドのレコーディングデビュー作と最後のレコーディング作品となったゴルドベルク変奏曲、1982年録音のインタビュー・セッションを収録したCD3枚組。(ソニー・ミュージックジャパン・インターナショナル、2002年発売)
    〔写真は筆者提供〕

    「地球を代表する音楽」を我々にもたらす衝撃のCDセット

    『地球が静止する日』(2008年)を見た。B級などと揶揄されて散々な映画だが、私は好きだ。キアヌ・リーブス扮する宇宙人クラトゥは、地球を破滅の淵に追い込んでいる地球人と文明を破壊し、リセットするために送り込まれた。ヒロインの女性科学者は、地球人と文明は自己更生しうると説得するために、世界を代表する物理学者の自宅にクラトゥを連れて行く。その自宅に流れていたのが、まさしくグレン・グールド弾くバッハの『ゴルドベルク変奏曲』(Goldberg Varia­tions。以下、『G』)のアリアであった。このアリアは地球を代表する音楽として、このシーンで使われたのである。

    グレン・グールド(1932~82年)が弱冠23歳で『G』を発表するや、このLPは空前のヒットとなり、グールドはバッハ音楽の革命的解釈者として、以降多くの人々に衝撃と感動を与えてきた。グールドの1955年録音の『G』は、それまでの演奏者の『G』と著しく異なり、速く、超然的で、それでいて叙情的である。

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