『武士道』の著者 新渡戸稲造が1912年に著した『世渡りの道』を、地球物理学者で科学雑誌Newtonを創刊、編集長を務めた竹内 均氏が現代文に再編集。
(三笠書房、2004年刊)
この本は、世に処する方途を説く書としてたいへん有名であり、私自身若い頃に読んで大いに感銘を受けて以来、座右の書として折に触れひもといている。その中から、以下の5点について触れたい。
①「人の短所を見ないで長所を見るように心がけよ」。長所を見れば自然にその人に対して尊敬の念が湧き、礼節を守れるようになる。人との付き合いには相互の尊敬が必要である。尊敬は礼節の基となり、友人や同僚間の絆となる。
②世に処する時には常に一歩を人に譲るのが一番安楽な方法であるから、自分の良心に背かない範囲において人の望みを容れるのが良い。しかしながら、もしも自分の信念に背くことがあれば自分の不承諾を明らかにすべきであり、「ノー」を正しく賢明に言えて初めて一人前と言えると述べている。
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