岩村 昇氏(1927〜2005年)はネパールより帰国後、神戸大学医学部教授の一方、PHD(Peace,Health & Human Development)協会設立に尽力。93年アジアにおける社会貢献によりラモン・マグサイサイ賞受賞。
岩村 昇・史子著(新教出版社、1965年刊)〔写真筆者提供〕
岩村 昇・史子夫妻は、1960年初頭、日本が海外へ人材派遣を始められるようになった頃、日本キリスト教海外医療協力会からネパールに派遣され、1980年まで7期にわたって20年近く働かれた。本書は、その第一期3年間の記録であり、夫妻が日本の支援者の友人たちに送った報告や日記などを編纂したものである。
当時、鳥取大学医学部衛生学教室の助教授であった岩村氏(34歳)は、ネパールで公衆衛生医が求められているという日野原重明氏の呼びかけに応じ、外貨持ち出し制限など多くの困難を乗り越えて出かけてゆく。それは、日本では想像もつかない現地の人々の病苦と人々との出会い、労苦と祈り、奇跡のような出来事の連続の日々であった。その記録は宗教を超えて、多くの日本人を感動させた。
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