著者は1961年福島県いわき市生まれ。北大工学部卒業。1989年毎日新聞社入社、92年より外信部。2008年よりローマ支局長。2005年開高健ノンフィクション賞受賞。
(藤原章生著、テン・ブックス、2014年刊)
著者の藤原章生とは、中学3年の時に同級生だった。親しく付き合ったのはこの1年間だけなのに、なぜか気が合い、交流は今も続いている。理系だった彼は毎日新聞の記者となり、文系だった私は医師になった。年齢とともに生き方が保守的になった私とは対照的に、藤原は長野、ヨハネスブルグ、メキシコ、ローマ、郡山と、世界を駆け巡っている。
その彼が、6冊目の本を書いた。アクティブなジャーナリストであるが、その文章は静謐で、詩情に溢れる。それがまずタイトルに端的に表れている。46篇からなるルポルタージュ風のエッセイは、一つひとつが深遠で、また同時に過剰がない。そして余韻を残す。
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