著者の洪自誠は中国明代の学者、著述家。儒教、仏教、道教を修め、神仙思想にも通じ、『仙仏奇蹤』4巻を編纂した。『菜根譚』は江戸時代末期に日本に伝わり、現在も実業家や政治家など広く愛読されている。
写真は祐木亜子の翻訳(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2007年刊)
本コラムへの寄稿を依頼された時、何故平凡な医師である私に依頼がきたのか不思議な心持ちであった。しかし、京都大学再生医科学研究所時代に当時のI所長が言われた、「医者と芸者と役者は、お呼びがかかったら決して断ってはならず、必ず依頼講演・原稿は応諾しなさい」というお言葉を思い出し、お引き受けした。
子ども時代より祖父、父の影響で書庫にあった時代小説に自然に馴染んでおり、藤沢周平、山本周五郎、司馬遼太郎、海音寺潮五郎、子母澤寛、池波正太郎など心の琴線に触れた一冊を選ぼうと思ったが、ここしばらく枕元に置いて、事あるごとに読み耽っている『菜根譚』を取り上げることにした。
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