厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は11月2日、初診からのオンライン診療の恒久化に向けた議論に入った。患者が不利益を被ることがないよう、どのように安全性と信頼性を担保しつつ、初診時のオンライン診療を解禁するのか、制度設計の大枠を議論し、年内に一定の方向性を取りまとめる予定。
初診からのオンライン診療については先月、田村憲久厚労相、平井卓也IT担当相、河野太郎行革担当相の3大臣が恒久化を合意。その検討に際しては、▶安全性と信頼性を担保する、▶映像があることを原則とし電話は除外する―ことが確認されている。
この日の検討会で厚労省は、大臣合意を踏まえ、▶安全性と信頼性をベースに、初診も含めオンライン診療を原則解禁する、▶電話ではなく映像があることを原則とする、▶安全性と信頼性については、オンライン診療を行うことによる患者の利便性等のメリットと、対面診療を行わないことによる疾患の見逃し・重症化のリスクや、患者と医療機関の感染やトラブルのリスク等を総合的に考慮する、▶新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての時限的措置の検証結果を踏まえつつ、今後のオンライン診療のあり方として具体的に位置づけるものを検討する―の4点を検討にあたっての基本姿勢として提示した。
引き続いて行われた議論では、オンライン診療における「初診」の定義づけが、課題であることが浮き彫りになった。一般的に初診は、すでに受診歴がある患者が新たな症状で受診する場合と、全くの新規患者の場合の大きく2つに分けられる。前者をオンライン診療の対象にすることに大きな反対意見は出ていないが、後者については医療関係者だけでなく患者団体の関係者も慎重姿勢を示している。このため、次回会合では、事務局が初診の考え方について整理した資料を提出することになった。
このほか、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う時限的措置の継続可否についても議論。9月以降の感染患者数がおおむね横ばいから微増で推移していることを考慮し、当面継続することを決めた。