米ファイザー社は11月20日、独ビオンテック社と共同開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けmRNAワクチン「BNT162b2」について、第3相試験の最終解析で95%のCOVID-19発症予防効果が示されたことなどを根拠に、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請した。ファイザーは「この申請により米国では12月中旬~下旬からワクチンを使用できる可能性がある」としている。
「BNT162b2」の国際共同第3相試験の最終解析は、確定診断された170例のCOVID-19発症例を対象に行われ、170例中162例がプラセボ群、8例がワクチン群だった。ファイザーはこれにより95%の有効率が示されたとし、またワクチンに関連する重大な安全性の懸念も認められていないことから、FDAへの申請に加え、オーストラリア、カナダ、欧州、日本、英国を含む世界各国の規制当局への資料提出を開始した。
ファイザーのアルバート・ブーラCEOは「米国での申請は極めて重要な節目。ワクチンの有効性と安全性プロファイルに関してより多くのデータが得られた今、その可能性に自信を持っている。ワクチン候補の承認を可能な限り迅速に得るため、FDAおよび世界中の規制当局と緊密な連携を取り続ける」とコメントしている。
日本の厚生労働省は、ワクチン開発に成功した場合、2021年6月末までに1.2億回分(6000万人分)の供給を受けることでファイザーと基本合意している。
「BNT162b2」は、推奨される保存条件が「マイナス70℃±10℃」(解凍後は2~8℃で最大5日間保存可能)とされており、このためにファイザーはGPS付き温度センサーが入った保冷箱を開発。ファイザー日本法人は、日本での保存条件を「マイナス75℃±15℃」とする方針で、「海外から国内倉庫の輸送までGPS付き温度センサーを使用する」としている。
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