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K君のこと[プラタナス]

No.5041 (2020年12月05日発行) P.3

鹿間芳明 (神奈川県立こども医療センター感染免疫科医長)

登録日: 2020-12-05

最終更新日: 2020-12-02

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  • 一般市中病院で小児科研修をしていると、不明熱、謎の発疹、謎の肝機能障害等にしばしば出くわす。指導医の先生と一緒に頭をひねるが、結局よくわからない。
    「こども医療センターの先生方なら、きっとエレガントに謎を解き明かしてくれるに違いない」。期待に胸膨らませて、私は神奈川県立こども医療センター感染免疫科での研修をスタートさせた。

    でも、そんな魔法みたいな方法があるはずもなく、県内外から次々送られてくる「謎の疾患」に対して、地道に鑑別を挙げ、検査をして、結局わからず悩む日々が続いた。

    レジデントから常勤になって間もなく、K君が紹介されてきた。全身真っ赤で表皮がポロポロとめくれ落ちる。発熱もあり、痛そうに泣いている。魚鱗癬? アレルギー?……わからないままに経腸栄養剤とステロイド外用で経過観察をしていたら、ある朝急に呼吸が苦しそうになった。心囊液が溜まって心タンポナーデになっていた。心臓外科と集中治療科の先生方のおかげでなんとか危機を脱することができたが、やっぱり何が起きているのかわからない。その後恐る恐るステロイドを減量し、恐る恐る食事制限を解除していくと、K君は1歳を過ぎた頃から嘘のように元気になっていった。

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