中央社会保険医療協議会総会は12月18日、乖離率が5%を超える品目を対象に薬価改定を行うなどとした、2021年度薬価改定の骨子を了承した。新型コロナウイルス感染症による医療機関や薬局の経営に配慮し、薬価の削減幅を0.8%分緩和する特例も実施する。改定による医療費の削減効果は21年度予算ベースで、4300億円と見積もられている。
骨子は、12月17日に加藤勝信内閣官房長官、麻生太郎財務大臣、田村憲久厚生労働大臣の3大臣が合意した「毎年薬価改定の実現について」を反映した内容。21年度薬価改定は、乖離率5%(薬価調査結果の平均乖離率8%の0.625倍)を超える価格乖離の大きな品目を対象に実施。今回の薬価調査での乖離率(8.0%)が同じく中間年にあたる18年度調査に比べて0.8%高かったことから、その分を新型コロナによる影響とみなし、改定後薬価の算定時に薬価の削減幅を軽減する。
このため、通常改定の場合は改定後薬価を、市場実勢価格の加重平均値(税抜き)に消費税率を乗じた後、調整幅(改定前薬価の2%)を上乗せして算出するが、今回は新型コロナ対応の特例(=一定幅)として、改定前薬価の0.8%に相当する額も加える。
また、薬価算定ルールの適用範囲は、▶基礎的医薬品の薬価維持、▶最低薬価の維持、▶新薬創出・適応外薬解消等促進加算の加算、▶後発品の価格帯集約―の実勢価改定に連動するルールのみとする。
厚労省によると、21年度改定の対象品目は全品目の69%に相当する1万2180品目。内訳は、▶新薬1350品目(構成割合59%)、▶新薬創出等加算対象品目240品目(40%)、▶長期収載品1490品目(88%)、▶後発品8200品目(83%)、▶その他の品目1140品目(31%)―となっている(構成割合はいずれも各分類の品目全体に占める割合)。
薬価改定の対象品目がこれまで厚労省が示していた案(最大でも平均乖離率の1倍超の品目まで)よりも広くなったことから、診療側は同日の薬価専門部会では、骨子の賛否についての態度を保留。その後の総会で、新型コロナ対応の診療報酬上の特例が了承されたことと引き換えに、最終的には骨子の内容を受け入れた。