日本医師会は2月3日、新型コロナウイルス感染症に関する医療従事者等への風評被害緊急調査結果を発表した。それによると、風評被害は看護師など「医師以外の医療従事者」に対するものが最も多いことが明らかになった。
調査は、医療従事者等への風評被害の実態を把握するため、都道府県医師会を対象に実施。緊急事態宣言再発令前の昨年10〜12月に各地域で実際に起こった事例を集計した。
総回答数698件の被害対象の内訳は、「医師以外の医療従事者」が277件(40%)、「医療機関」が268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」が112件(16%)、「医師」が21件(3%)、「その他」が20件(3%)。
「医師以外の医療従事者」への被害は主に看護師に対するもので、医療機関に勤務しているというだけで「近寄るな」「(集まりや習い事に)来ないでほしい」「(美容院等の)利用をしばらく控えてほしい」「一緒にエレベータに乗るのが怖い」といった暴言・差別を受けたケースや、保育園に子どもの預かりを拒否されたケースなどが寄せられた。中には、身内であるはずの家族や親戚から交流を避けられるといった事例も散見されたという。
医師への被害では、医師が近隣に引っ越してくると知った住人から「窓も開けられなくなる」「引っ越しを延期してもらえないか」というクレームが出たなどの事例が寄せられた。
3日の会見で中川俊男会長は、風評被害というレベルを越えて深刻な差別、人権侵害に当たる事例が多く見られたとし、「この問題を解消するためにも国からの至急の対応を要請したい」と述べた。