認知症短期集中リハビリテーションは,全国老人保健施設協会(全老健)の学術委員会による10年以上前からの取り組みであり,平成18(2006)年度の介護報酬改定で,老人保健施設において認知症短期集中リハビリテーション実施加算(理学療法士,作業療法士,または言語聴覚士が1回20分以上の個人療法で1回60点,週3回までで,入所から3カ月以内まで請求できる)が軽症の認知症〔MMSE(mini mental state examination),HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)がおおむね15点以上〕に認められた。リハビリテーションの期間が規定されたため,効果の検証研究が容易になった。
平成19(2007)年度における解析対象者266人(対象者203人,対照群63人)に対して検証を行った。この結果,中核症状である認知機能に対して有意な改善が認められただけでなく,周辺症状に対しても,非定型抗精神病薬や漢方薬などの効果に匹敵する,非常に強い改善効果が認められた。しかも,「物をなくす」「昼間寝てばかりいる」「介護拒否」「何度も同じ話を繰り返す」「暴言」「無関心」「昼夜逆転」など,頻度の高い周辺症状の8割程度に有効であるという,インパクトのある成績であった。
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