頻尿,尿漏れ,尿が出にくいといった排尿障害は本人の苦痛のほか,介護者の介護負担に直結する課題である。このため在宅医療を継続するためにもこの課題に取り組まなければならない。ただし薬で即解決ということは稀であり,身体疾患のほか,衣食住をトータルに考え対応法を導き出すことが必要となる。
各要素が複雑に絡み合っており,1つの要素のみが原因ということは稀である。①~⑤を把握するためにも排尿日誌(尿量,時間,飲水量を記載する日誌)が有用である。
①身体疾患:前立腺肥大症,脳梗塞による神経因性膀胱,尿路感染症などを鑑別する。診察時には身体所見とともに,エコーによる残尿測定が有用である。
②薬剤:利尿薬,向精神薬,抗コリン薬,オピオイドなど排泄に関わる薬剤を列挙する。
③食事・水分:水分摂取不足,偏った食事がないかを評価する。
④身体機能:姿勢保持能力,日常生活活動(ADL)の評価,関節痛による移動困難,トイレ環境の評価を行う。
⑤認知機能:尿意を感じられないのか,感じても言語化できないのか,トイレの位置がわからないのか,排泄の動作がわからないのかを把握する。
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