多職種協働を考えるとき,事実として以下の現実を認めることから始めなければならない。それは「ひと一人の人生を支えようとするとき,どんな職種でも一部しか支えることができない」ということである。医師の仕事は,医学的な分野での貢献ということであっても,1人では薬局まで行けない患者もいれば,食事の用意ができない患者もいる。その人が,在宅医療という限られた資源の中においてなお,人生を進めていくためには,多職種と協働することがすべての職種に必要となる。地域にそもそもそんな職種がない場合もある。そんなときには「資源をつくっていく」ことさえも仕事とみなせるだけの「プロフェッショナルとしての結果に対する責任感」が必要なのである。
連携に関する障害は,大きくわけて「不足と断絶」という2つの要素に集約していく。そのため現状の地域や自分たちの状況を把握するためには以下の7つのステップが必要である。
人は自分が「知らない」ということを知ることはできない。外に出て,世界との接点を持つことから始めなければいけない。
どこかに資源があると聞いていても,実際に使える資源になるのはその場所や,そこにいる人の顔が浮かばなければならない。「顔の見える関係,腕の見える関係,腹の見える関係」になっていくことが必要である。まず最初は顔と名前が一致することが重要である。多職種の職種名例で呼ばれる(たとえば看護師さん,ケアマネさん)のではなく,個人(看護師の鈴木さん,ケアマネの高橋さん)として扱われないと,チームとして機能することは難しい。
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