【質問者】
山上 宏 大阪医療センター脳卒中内科科長
【ICMなどが有用。デバイスのさらなる進化により適切な予防治療が可能に】
脳梗塞の病型は,ラクナ梗塞,アテローム血栓性脳梗塞,心原性脳塞栓症,その他の原因による脳梗塞,そして原因不明の脳梗塞の5つに分類され,それぞれ20%前後を占めます。原因不明の脳梗塞(潜因性脳梗塞)の中には,検査を尽くしても検出されないAFが潜在する症例が一定数隠れていると考えられています。AFが検出されれば抗凝固薬の適応となるため,その探索は非常に重要です。
潜因性脳梗塞に対して植込み型心電計(insertable cardiac monitor:ICM)を留置すると,1年で12.4%にAFが検出されることが報告され,これは通常診療の検出率2.0%より高率であり,ICMの有用性が示されました。その他複数の観察研究でも,ICM留置後1年の観察期間で2~3割にAFが検出されたと報告されています。
わが国では2016年に潜因性脳梗塞に対するICM留置が承認されました。筆者らは国内5施設の後ろ向き調査を行い,ICM留置後7カ月(中央値)で26%の症例にAFを検出し,そのうちAF検出率が高いのは,ホルター心電図で上室性期外収縮が頻発していた症例や,入院時画像診断で脳主幹動脈閉塞を認めた症例であることを報告しました。その他の既報では,高齢・CHADS2スコア高値・左房径拡大を認める症例でAF検出率が高いことが報告されています。一方で,約7~8割はAFが検出されず,引き続き原因検索を継続する必要がありますが,AFをほぼ否定できることの意義も大きいと考えています。
残り500文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する