SUMMARY
小児診療の基本は急性期疾患であるが,子どもの将来を見据えた長期的な視点で関わる。子どもとその家族だけでなく,教育,社会など医療が関わる場は広い。対応困難な症例は早めに可能な施設に紹介する。
KEYWORD
DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)説
胎生期や乳児期早期の環境が,成人期における疾病の罹患しやすさにまで影響を与えるという説。低出生体重児が糖尿病や高血圧,肥満などに罹患する率が高いという疫学的調査に基づき提唱され発展した。
PROFILE
内科→家庭医療→小児科とそれぞれ研修をして現在に至ります。今回の連載では,小児の急性期疾患のみを解説していきますが,今後,非専門医がみる小児医療,非専門医がみる内科医療について提言していきたいです。
POLICY・座右の銘
専門医はより総合医らしく,総合医はより専門医らしく
5歳男児が①咳嗽を主訴に受診した。②ワクチンはすべて接種済み。③在胎週数32週0日,出生体重2200g。既往歴は生後10カ月時RSウイルス細気管支炎による入院歴あり。以降喘鳴を繰り返している。母が④家族内喫煙者である。現病歴は,身長107cm,体重22.0kg,⑤BMI 19.2,肥満度25.7%,SpO2 95%,⑥呼吸数30回/分,⑦陥没呼吸軽度あり,呼吸音は両肺に呼気性喘鳴を聴取する。気管支喘息発作と診断して治療しようとしたが,⑧気管支拡張薬吸入は嫌がってできなかった。内服薬を処方し,明日再診するように母親に依頼したところ,仕事があり受診できないという。⑨家族構成は,母と本人の2人暮らしである。来年の4月には小学校入学の予定であり,保育園からは⑩支援学級での教育を受けるように勧められている。
小児の受診は,咳嗽,発熱,嘔吐などを主訴とする急性疾患が多い。病歴と身体診察,特にバイタルサインを正しく評価し,緊急度判定を行うことが最も重要である。