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妊娠中の処方の注意点[〈from総合医育成プログラム〉プライマリ・ケアで役立つクリニカルパール(13)]

No.5272 (2025年05月10日発行) P.6

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科医長)

登録日: 2025-05-10

最終更新日: 2025-05-08

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執筆:柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科医長)

産婦人科編④ 日本プライマリ・ケア連合学会監修

本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。

今回のクリニカルパールお母さんの適切な治療が,胎児の健康にとっても大切であることを説明する。
すべての妊娠で一定頻度での奇形リスクを伴うため,「薬を飲まなければ安全」ではない。
妊娠中でも安全に使用できる薬は多い。

1 妊娠中の薬について

妊娠中でも安全に使用できる薬はたくさんあり(表1),無理に服用を我慢させる必要はありません。薬を処方する際は,お母さんが適切に治療を受けて体調が良くなることが,胎児の健康にも重要であることを説明します。特に,妊娠前からの基礎疾患(糖尿病,甲状腺機能異常症,喘息,精神疾患など)の治療薬を自己中断すると,病状が悪化し,胎児にも悪影響が出ることがあります。

すべての出生児の約2~3%で,薬の服用の有無にかかわらず,先天的な異常が発生するため1),「薬を飲まなければ安全」というわけではありません。以前は,アセトアミノフェンの大量投与による胎児の動脈管早期閉鎖や注意欠如・多動症(attention deficit hyper-activity disorder:ADHD),自閉症リスクが懸念されていましたが,直近の研究では,常用量ではそれらのリスクは上昇せず,安全に使用できることがわかっています2)3)

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