日本で唯一の国立の小児病院(現在の国立成育医療研究センターの前身)は世田谷の丘の上にあった。そこの会議室の一室で毎週木曜19時から「小児呼吸器勉強会」が開かれていた。当時から今も小児呼吸器専門医は数少なく、関東一円の病院から胸部X線写真を携えて判断を仰ぎに集まってきた。みんなが集まりやすいように遅めの開催だったように思う。夕食は各自でだった。
シャウカステン(Schaukasten独)、今は何をするものかを知らない人もいるかもしれないが、そこにフィルムをずらっと並べて見比べる。小児の場合、経過がわかるように全部の写真を持ってくるよう指示されていた。症例提示がされる中、下の者はこぞって駆け寄り、かぶりつきで所見を探す。お師匠先生は後ろから遠巻きにこのフィルムと様子を見ていて、頃合いを見計らい助け舟を出してくれる。リアルタイムで模範読影を経験することができるのである。
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