私の経験した最も印象深い1症例について述べたいと思います。
30歳代の女性で、数年前から食べ物がつまる症状があり、内視鏡検査するも異常なく、最近受けた検診の造影検査でも異常なし。しかし、症状が悪化してきたということで紹介受診されました。当時、初期の食道アカラシアの方を何人か経験していたので、食道内圧検査を行いました。結果、異常は認められず。若い女性、症状はあるが器質的疾患はなさそう=機能性消化管疾患(手ごわい!)と考えたわけです。このようなケースでは往々にして、検査結果に納得してくれないことが多く、医師が診察前に少し気分がブルーになります。
ところがこの女性、説明すると「ふうーん、そうなんだ」といって診察室を出る勢い。これは、何かおかしい!いつもと違う!と思い、「しばらく受けていないようですから、念のため内視鏡検査をしましょう」と予約しました。
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