興和は7月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象にイベルメクチンを投与する臨床試験(開発コード:K-237)を開始すると発表した。
イベルメクチンは、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智北里大特別栄誉教授(写真)らが発見したマクロライド系抗生物質。1993年にフランスで承認されて以来、寄生虫感染症治療薬として世界中の臨床現場で約30年使用されてきた実績がある。
基礎研究で新型コロナウイルスの増殖阻害作用が報告されており、世界各国でCOVID-19に対するイベルメクチンの臨床試験が進められている。しかし日本では、北里大病院が「COVID-19対策北里プロジェクト」の一環として医師主導治験を2020年9月から開始したものの、これまで企業が主体となった臨床試験は行われていない。興和によると、大村氏より直接、臨床試験実施の依頼を受けたことで最終決断に至ったという。
興和は、大村氏のほか北里大大村智記念研究所の花木秀明教授、愛知医大の三鴨廣繁教授、東京都医師会の協力の下、新型コロナウイルスに対するイベルメクチンの臨床効果を早急に確認し、早期実用化を目指すとしている。
現在国内で販売されているイベルメクチン
【商品名(製造販売元)】ストロメクトール(MSD) 【効能・効果】①腸管糞線虫症、②疥癬(疥癬には確定診断された患者またはその患者と接触の機会があり疥癬の症状を呈する者に使用)
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