40歳代、男性が、息切れ、動悸を認め、血液検査でHb 2.5g/dLと著明な鉄欠乏性貧血を指摘されて入院となった。
患者さんを診察して彫りの深い顔貌だなと思ったが(図1)、個人差の範囲内と感じたくらいであった。上部消化管内視鏡と大腸内視鏡では異常なく、小腸疾患を疑って、カプセル内視鏡を施行し、回腸に多発潰瘍を認めた。バルーン小腸内視鏡を施行したところ、終末回腸に異常はないが、口側の回腸に多発する潰瘍を認め、一部輪状傾向も呈していた(図2)。生検の病理組織所見では特異的な所見はみられなかった。クローン病としては病変の分布が典型的ではないと思いながらも小腸型クローン病と診断し、鉄剤とメサラジンの投与により症状は改善したため、外来でフォローとなった。
ちょうどこの頃に、これまで非特異性多発小腸潰瘍症と診断されていた疾患で、原因となるSLCO2A1遺伝子変異が明らかとなり、新しい疾患概念としてCEAS(chronic enteropathy associated with SLCO2A1)と命名された。本疾患は頭皮の脳回様肥厚、上下肢の骨膜肥厚、ばち指などの肥厚性皮膚骨膜症を合併することがあると報告された。
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