No.4821 (2016年09月17日発行) P.74
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-16
最終更新日: 2016-12-12
夏場はズボンの後ろポケットに財布を入れている。分厚いと気持ちが悪いので、超薄型の財布を使っているのだが、薄さを保つために、コインは斜めに重ねて入れるようになっている。その数には限界があって、15枚まで。理屈の上では999円を入れることができるから、完璧なのである。
もちろん、いつもそんなにきっちりと入れている訳ではない。が、コインの順番だけは、左から500円、100円、10円、50円、5円、1円と決めている。いや、決めているというよりは、その順番で入っていないと気持ちが悪くてしかたがないのである。
気持ち悪いと言う割には金額の順番になってないやないか、と思われるかもしれないが、これには理由がある。コインの前面がほとんど覆われるデザインになっているために、100円玉と50円玉、10円玉と5円玉の区別がつきにくい。なので、これらが連続しないようにこの順にしてあるのだ。けっこうやることがこまかい。
夏だけではないけれど、お札の入れ方も、奥側から、1万円、5000円、1000円の順で、それも、顔がこちらを向いてないと我慢できない。もちろん、上下が逆などというのはもってのほか。
おかしなところで神経質なのである。大阪弁でいうところの、かんしょやみ=癇性病みだ。「かんしょやみ」のニュアンスはちょっと微妙で、いわゆる神経質というだけでなく、軽い強迫も加味されていて、小さいことにがまんできない性なのである。
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