破天荒な人生を送った勝 小吉が、子孫が自分の真似をしないようにと、したためた書物。勝 海舟を育てた父親の独特の文体が特徴的(勝 小吉著、平凡社東洋文庫シリーズ、1969年刊)
今回、日本医事新報社からの依頼で「私の一冊」を推薦することになり、迷った末に『夢酔独言』という一書を紹介することにした。
高校の頃、坂口安吾を好んで読んでいた時期があった。『青春論』という随筆の中で、安吾が『夢酔独言』を題材に、勝 小吉を“奇々怪々”な人物として描いていた。興味を持った私は、すぐに高校の図書館や公立図書館を探したが、所蔵されておらず、読むことは叶わなかった。大学入学後、東洋文庫の中に『夢酔独言』が入っているのを知り、さっそく購入した。期待通りであった。それから30年以上の時が流れたが、今も手元の書架で妖しい光を放っている。
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