片頭痛の治療には急性期治療と予防療法が必要である
急性期治療薬にはNSAIDsとトリプタンがあるが,外来患者の頭痛は重度のことが多くトリプタンが使われることが多い
トリプタンには5品目あり,それぞれ最高血中濃度到達時間(Tmax)や血中半減期が異なるため使いわけることが必要である。口腔内で溶解し,水なしで飲める経口薬や点鼻・注射薬も準備されている
予防薬にはわが国で保険適用あるいは保険外適用となるものが4種類ある。作用機序や副作用を考慮し使いわける必要がある
予防薬の効果発現には2~3カ月の期間を要する
頭痛発作は何らかの誘因で誘発されることが多く,これを取り除くことも有用である
頭痛発作は小児・思春期より始まり,60歳頃まで繰り返し出現する。痛みは体動で増悪し,光・音過敏や嘔気・嘔吐などの不愉快な随伴症状を伴うため日常生活に支障をきたす。そのため,治療には頭痛発作時に痛みを頓挫させる急性期治療に加えて,発作の程度・頻度を改善させる予防療法が必要となる。
日本頭痛学会による「慢性頭痛の診療ガイドライン 2013」1)では片頭痛急性期の治療薬として①アセトアミノフェン,②非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),③エルゴタミン製剤,④トリプタン,⑤制吐薬,が推奨されている。軽度の頭痛にはNSAIDsが有効なことが多いが,より重症度の高い頭痛や軽度でもNSAIDsの効果が乏しい場合にはトリプタンが推奨される。
現在使用されているトリプタンを表1に示す。薬剤ごとに最高血中濃度到達時間(Tmax)や血中半減期が異なるので,頭痛発作の特徴により使いわけるとよい。急峻な立ち上がりの頭痛発作に対してはTmaxの短いものを,24時間以内の再発が多い場合は血中半減期の長いものを選択する。薬剤や剤形により1回最大投与量,1日最大投与量が異なる。
残り4,118文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する