舌乳頭(糸状乳頭)が延長し,毛が生えたような状態になる疾患を毛舌という。またその多くは黒色を呈することから黒毛舌とも呼ばれる。通常,自覚症状は認められない。抗菌薬や副腎皮質ステロイドの長期投与によって生じる菌交代現象が原因とされ,原因菌の中に色素産生菌がいる場合は黒色を呈する。
舌背部における糸状乳頭が著しく延長し,角化の亢進を伴うため肉眼的には舌に毛が生えたように見える。原因菌の中に色素産生菌もみられるため,舌に褐色あるいは黒色の毛が生えた様相を呈することが多い。抗菌薬や副腎皮質ステロイドの長期使用が原因であることが多いため,問診による基礎疾患の把握,投薬内容で診断していく。
積極的な治療は必要ないが,食物残渣の停滞や細菌の繁殖が起こりやすく,口臭の原因にもなるため,通常の口腔衛生指導に加えて舌ブラシによる舌背の清掃,含嗽薬の使用により口腔内を清潔に保つ。薬剤が原因と考えられる場合は,可能であれば主治医に相談して薬剤を中止する必要がある。
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