舌乳頭の萎縮により舌の表面全体が発赤し,平滑になった状態を言う。灼熱様疼痛やしみるといった症状が出現し,時に味覚障害や嚥下障害が生じる。赤色平滑舌を呈する代表的疾患は貧血性疾患であり,特に鉄欠乏性貧血,悪性貧血によるものが多い。
肉眼的には萎縮性病変であり,舌背部全体にわたり表面の乳頭が消失し平滑を呈する。
鉄欠乏性貧血は中年以降の女性に多くみられ,易疲労感,動悸などの貧血症状,匙状爪(spoon nail)を呈する。血液検査において,赤血球数・ヘモグロビン(Hb)・平均赤血球容積(MCV)・平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)・血清鉄(Fe)の低下が認められる。鉄欠乏性貧血が進行すると,舌炎,口角炎,食道粘膜の萎縮性変化に伴う嚥下障害がみられ,これらの症状を併せてPlummer-Vinson症候群と呼ぶ。
悪性貧血(巨赤芽球性貧血)はビタミンB12の吸収不全に起因する疾患で,胃切除,萎縮性胃炎によって生じる。血液検査において,赤血球数・Hb・ヘマトクリット(Ht)・血清ビタミンB12の低下がみられる。MCVは高値を示し,MCHCは正常値である。本疾患による糸状乳頭の萎縮を伴った舌炎をHunter舌炎と呼ぶ。
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