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【識者の眼】「子どもの権利を意識した臨床を」小橋孝介

No.5090 (2021年11月13日発行) P.61

小橋孝介 (松戸市立総合医療センター小児科副部長)

登録日: 2021-11-04

最終更新日: 2021-11-04

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毎年11月は児童虐待防止推進月間である。全国で児童虐待防止に係る様々なイベントが行われる。厚生労働省はこれに合わせて、普及啓発のポスターを製作、公表している。今年度は、初めて「たたかれていい子どもなんて、いないんだよ」というメッセージとともに子どもの権利について伝える子ども向けのポスターが製作された。

子どもの権利を国際的に保障するために定められた子どもの権利条約は1989年国連で成立し、日本は1994年に批准した。2016年の児童福祉法の改正によって、初めてその理念が「子どもの権利」に基づくと明記された。

2019年に公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが行った3万人に対するアンケート調査では、大人の42.9%が子どもの権利条約について「聞いたことがない」と答え、「名前だけ聞いたことがある」と合わせると、80%を超える大人は、子どもの権利条約の内容について知らないことが明らかになった。

医療の現場において子どもの権利は守られているだろうか。子どもの権利を意識し、子どもの視点を考えて日々の臨床に向き合っているだろうか。病院のこどもヨーロッパ協会(European Association for Children in Hospital:EACH)は1988年に病院の子ども憲章を採択し、日本語訳が公開されている1)。日本でも各地のこども病院など憲章を作成している医療機関はあるが、子どもに関わる医療機関全体で見ると、その数はごくわずかである。

子どもは権利の主体であり、大人と同じように一人の人間としての様々な権利を持っている。一人の大人として医療者も子どもの権利を意識して子どもに接し、子どもの権利を守れているのか自省していかなければならない。〈11月4日〉

【文献】

1)NPO法人ホスピタル・プレイ協会:EACH病院のこども憲章新訳.

   [https://hps-japan.net/wp/wp-content/uploads/2020/08/9ce76c71a3f16f5ce028342501f8a474.pdf]

小橋孝介(松戸市立総合医療センター小児科副部長)[子ども虐待][子ども家庭福祉][子どもの権利条約]

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