1973年に制作された実話小説にもとづく映画。無実の罪で終身刑となった男が、仲間の裏切りや看守からの残酷な仕打ちを乗り越え、脱獄に成功し自由を得る(DVD:キングレコード、2003年発売〈製作30周年記念特別版〉)
“HEY YOU BASTARDS, I’M STILL HERE”
どこまでも美しい空と海の間。束ねた椰子の実袋の上にはひとりの老人が仰向けに、ぷかりぷかり。空に向かって大声で叫ぶ。日本語に訳すより、そのままの言葉に魂がこもる。この一言を聞きたくて、20歳代から折にふれて何度でも観たくなる。
男の名はパピヨン。胸に彫られた蝶の刺青からそう呼ばれ、映画のタイトルに。当初、チャールズ・ブロンソンが配役に挙がったらしいが、主演はスティーブ・マックイーン。演技していると思わせない見事な演技。加えて、親友ドガ(ダスティン・ホフマン)との最後のシーン、絶壁上の無言のハグも感涙を誘う。この言葉が発する意味は、ただひとつ、「自由」。
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