血液内科では2000年以降、診断や治療方法の進歩により、著明な予後の改善がみられています。抗菌薬や抗真菌薬などの進歩、リツキシマブ、イマチニブなどの分子標的療法の普及、臍帯血移植、HLA半合致移植といった移植医療の進歩などにより、私が研修医の頃には助からなかった患者さんも現在では通常の生活を送れるようになってきました。
その一方で、専門性が高くなりすぎることで病診連携が進まないことが血液内科の問題点です。大学病院や基幹病院は外来患者さんで溢れかえり、患者さんも大病院から離れられないため、元気に社会復帰しても受診日には休暇を取るなどの対応が必要になっています。
40歳を迎えた私はこの問題を解決すべく、2019年5月に血液内科のクリニックを開院しました。Community Hematologistとして血液検査の異常、リンパ節腫大、出血傾向などの初期対応を行うとともに、内服治療などで対応可能な血液腫瘍(慢性骨髄性白血病、真性多血症、本態性血小板血症など)の治療、骨髄バンクの調整医師や移植後患者さんの予防接種などを通して血液診療への貢献をめざしています。
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