【追加接種は6カ月を過ぎれば接種可能で,接種間隔の違いによる効果の差は確認されていない】
日本脳炎ワクチンの定期接種は,標準的には第1期として初回接種は3歳に達したときから4歳に達するまでの期間に6〜28日までの間隔をおいて2回接種し,初回接種終了後,おおむね1年を経過した4〜5歳までの期間に追加接種を実施する方法がとられています1)2)。追加接種を行うことでワクチン効果の持続をめざしております。一般的に不活化ワクチンは,接種後2〜4週間程度で抗体価が最大となり,その後緩やかに減少していく経過をたどると推測されます。不活化日本脳炎ワクチンは1〜4週間隔で2回接種することで,少なくとも1年間程度は抗体価の持続が確認されています(図1)2)〜5)。過去の検討では,2回接種後4カ月目と1年後の間に抗体価に大きな差が認められないことが確認されており6),3回目接種前の抗体価にかかわらず3回目を接種することでブースター効果が得られ,3回目の重要性が指摘されています6)。そのため,標準的には1年後に追加接種する方法がとられています。
海外で用いられているアジュバントを含んだ不活化日本脳炎ワクチンにおいても,4週間隔で2回接種後,1年後に1回追加接種するスケジュールを採用しています7)。
【文献】
1)厚生労働省:定期接種実施要領.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000036493.html]. Accessed 2019/ 11/25.
2)厚生労働省:日本脳炎.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou20/japanese_encephalitis.html]. Accessed 2019/11/25.
3)Okada K, et al:Vaccine. 2012;30(41):5967-72.
4)Miyazaki C, et al:Clin Vaccine Immunol. 2014; 21(2):188-95.
5)Yun KW, et al:BMC Infect Dis. 2015;15:7.
6)Katsurada M:Virus. 1968;18(4):295-304.
7)Chen HL, et al:J Chin Med Assoc. 2015;78(5): 271-5.
【回答者】
新井 智*1,多屋馨子*2 国立感染症研究所感染症疫学センター *1主任研究官 *2第三室室長