厚生労働省は1月12日の中央社会保険医療協議会総会に、一般病棟用と特定集中治療室用の「重症度、医療・看護必要度(看護必要度)」について、評価項目を見直した場合の影響をシミュレーションした結果を報告した。見直し項目の組み合わせを変えた複数パターンで検証。支払側は一般病棟・治療室用とも、施設基準を満たせなくなる施設の割合が最大化する、最も厳しい案の採用を求めたが、診療側は急性期入院医療の評価切り下げにつながりかねないと、見直し自体に反対している。
一般病棟用の検証は、(案1)A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更、「輸血や血液製剤の管理」の点数を2点に変更、(案2)B項目の「衣服の着脱」を削除、C項目の「骨の手術(11日間)」の日数を10日間に変更、(案3)案1にA項目の「心電図モニターの管理」の削除を追加、(案4)案3にB項目の「衣服の着脱」の削除、C項目の「骨の手術」の10日間への変更を追加―の4パターンで実施。
見直し後の施設基準(該当患者割合の基準値)を満たす施設の増減をみると、「急性期一般入院料1」の場合では、(案1)1.4%増、(案2)1.5%減、(案3)14.2%減、(案4)18.8%減。特に200床未満での影響が大きく、最も厳しい(案4)を適用した場合、200床以上で基準を満たせなくなる施設は14.6%なのに対して、200床未満は27.8%と、ほぼ倍増する。
一方、治療室用は、▶A項目の「心電図モニターの管理」の削除、▶B項目の削除、▶該当患者割合の判定基準見直し―を組み合わせた5パターンで検証。対象入院料は、「救命救急入院料2、4」および「特定集中治療室管理料1~4」とした。結果をみると、影響が大きかったのは、A項目の「心電図モニターの管理」を削除するのみの(案1-1)と、B項目も削除し、判定基準を「A得点4点以上」に見直す(案3-1)で、いずれも2割弱から4割程度の施設が施設基準を満たせなくなる可能性が示唆された。
結果を受けて、支払側は、一般病棟は(案4)、治療室は(案3-1)を軸に検討することを要望。該当患者割合の基準値引き上げも求めたが、診療側は、「現状よりも厳しい結果になる見直し案は到底承服できるものではない」(城守国斗委員・日本医師会常任理事)と突っぱねた。