国立大学というところは、基本的な作りが役所のままなので、当然のことのように会議が多い。なかには大事な議題もなくはないが、多くの会議は報告事項が主である。出席者の何割もが居眠りしている時すらあったりして、時間の無駄遣いもはなはだしい。
報告事項を会議で読みあげる必要などどこにあるのか。書類が配付されるのだから、読んでおいてくださいで十分ではないか。おそらくそれだと読まない人がいるという配慮からなのだろうが、それは読まない人の責任だからほうっておけばよかろう。
無意味な会議はとんでもなく嫌いだ。それでも、義理で出席せねばならぬことがある。そのような時は、文字通り1秒でも早く終わってほしいので、絶対に発言しないと心に決めて出席することにしている。
欠席すればいいではないかと言われるかもしれないが、悲しいかな会議には定足数というものがあって、私のような人ばかりだと会議が成立しない。そうなると、内容的にほとんど意味のない会議であっても運営に支障をきたしてしまう。会議出席も給料のうちである。それはやったらあかんやろう。という程度の常識はわきまえている。
そこで必殺技を考えた。一応は出席で返事しておいて、会議の直前に担当者に電話して、スンマセン、急用ができそうなのですが、欠席しても定足数は足りるでしょうかと尋ねるのである。先生、お休みいただいても大丈夫ですと言われたら、あ、たったいま急用が確定しました。欠席させてもらいますと返事する。そうすれば誰も困りはしない。何回かは本当に実行したことがある。
この延長として、もっとええことを思いついた。「定足くん」という人形を作って、顔写真を貼り付ける。で、会議の座席に代理で座らせるのである。一切の発言をしないと決めてある会議なのだから、出席するのと同じことだろう。あきませんかと事務に提案したところ却下された。あたりまえか。
最近はZoomでの会議も多い。顔出しが義務づけられるものもあるが、そうでないのもある。後者など、本当に出席と言っていいかどうか怪しいものだ。私みたいに聞いてない人もいるんだし。それでも、きちんと定足数にはカウントされる。それって、定足くん人形を置いとくのとほとんど同じとちゃうんですか。いやぁ、期せずして、時代が私についてきたのかもしれませんな。
なかののつぶやき
「大学の会議時間をどれくらい減らせるか、真剣に考えたことがあります。ざっくりですが、半分から3分の1にはできるはずです。忙しい忙しいと言いながら、誰もそういったことに真剣に取り組もうとしないのが不思議でたまりませんわ。昔に比べてシステムが非常に複雑になっているのですから、すべてを教授が決めるというやり方自体を変えなければならないとも思うんですけどね」