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なぜ自在鉤現象が生じるのか?

No.5106 (2022年03月05日発行) P.48

岩田 誠 (東京女子医科大学名誉教授/メディカルクリニック柿の木坂院長)

登録日: 2022-03-07

最終更新日: 2022-03-01

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大脳皮質運動野の限局性病変で橈骨神経麻痺のような垂れ手を生じる場合がありますが,この際,他動的に手首を伸展させると,手指が自動的に屈曲します(自在鉤現象)。
この機序は,どういうものなのでしょうか? 東京女子医科大学名誉教授の岩田誠先生にご回答をお願いいたします。(新潟県S)


【回答】

 【皮質損傷による垂れ手の場合には,手首と手指の伸筋の麻痺に加えて,手指屈筋に軽度ながら痙縮が生じるため,自在鉤現象が生ずる】

橈骨神経麻痺による垂れ手では,手首と手指の伸筋が弛緩性の麻痺を生じるだけです。

しかし,皮質損傷による垂れ手の場合には,手首と手指の伸筋の麻痺に加えて,手指屈筋に軽度ながら痙縮が生じています。
そのため,手首を背屈させるとその痙縮がはっきりと現れてきて,自在鉤現象が生ずると考えられます。

【回答者】

岩田 誠 東京女子医科大学名誉教授/ メディカルクリニック柿の木坂院長

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