健康保険組合連合会が4月28日に公表した2022年度の予算早期集計結果によると、健保組合の経常収支は2770億円の赤字となる見通しであることがわかった。高齢者等拠出金の減少で21年度予算に比べると赤字額は大幅に縮小するが、健保連は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた「一時的かつきわめて異例な減少」だと強調。23年度以降は一時的な拠出金減少の反動や団塊の世代の75歳への到達で拠出金が急増し、健保財政は急激に悪化すると警鐘を鳴らしている。
22年度の予算編成状況を健保連に報告した1358組合の予算数値をもとに、4月1日時点で存在する1387組合の財政状況を推計した。22年度予算における健保組合の収支をみると、経常収入は8兆3869億円(対前年度予算比3.3%増)、経常支出は8兆6638億円(0.5%増)。経常収支差引額は2770億円の赤字となったが、高齢者等拠出金の大幅な減少で赤字額も前年度予算比で2259億円減と大幅に縮小する。
その高齢者等拠出金は3兆4514億円となり、前年度予算に比べて2080億円(5.7%)減少する見込み。新型コロナの感染拡大に伴う20年度の高齢者医療費の減少により、22年度の拠出金概算額が630億円減ったことや、20年度の拠出金の精算分として1445億円が返還されたことが影響した。拠出金の内訳は、▶後期高齢者支援金1兆9956億円(1.0%減)、▶前期高齢者納付金1兆4555億円(11.4%減)、▶退職者給付拠出金0.9億円(29.0%減)―など。拠出金の減少により、義務的経費に占める拠出金負担割合も前年度予算比で2.8ポイント減の43.8%に低下した。
一方、平均標準報酬月額は37万7846円(対前年度予算比1.4%増)、平均標準賞与額は111万9453円(7.5%増)となった。ともに回復基調にあるが、新型コロナ感染拡大前の19年度決算と比べると、その伸び率は平均標準報酬月額が0.1%減、同賞与額が5.1%減と、低い水準が続いている。平均保険料率は9.26%(0.03ポイント増)で、被保険者1人当たり保険料負担額は49万8366円(1万2305円増)となった。協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の組合は306組合で、予算編成状況を報告した組合全体の22.5%に及ぶ。
経常収支差額が赤字の組合は963組合(構成比69.5%)となり、前年度に比べて105組合減った。