政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2022)」を閣議決定した。医療・介護分野は原案から大きな修正はなく、かかりつけ医機能を発揮するための制度整備や、23年4月からの医療機関・薬局へのオンライン資格確認等システム導入の原則義務化などが明記された。
それによると、能力に応じた負担を基本とする全世代型社会保障を構築するための基盤整備として、医療・介護提供体制では機能分化と連携をいっそう重視した改革を実行。その一環として、かかりつけ医機能が発揮される制度を整備する。同時に地域医療連携推進法人の有効活用や、都道府県の責務の明確化に必要な法制上の措置を行うことも含め、地域医療構想を推進する。医師の働き方改革の円滑な施行に向けた対応や、医療費適正化計画のあり方の見直し、都道府県のガバナンスの強化などにも取り組む。これらの施策の推進にあたっては、まず全世代型社会保障構築会議で23年、24年を見据えた短期的課題と中長期的な各種の課題を整理し、中長期的な改革事項を工程化することとする。
医療・介護分野におけるDXにも精力的に取り組む。国民が自分の医療・健康情報を一元的に管理できるようにするPHR(パーソナルヘルスレコード)の推進等改革は、データヘルス改革の工程表に沿って着実に実行する。オンライン資格確認の導入を23年4月から医療機関・薬局に原則義務付けるとともに、マイナンバーカードの保険証利用が促されるよう24年度を目途に保険者による保険証発行の選択制を導入。将来的に保険証を原則廃止することをめざす。
一方、政府には総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置。同本部の下で行政と関係業界が一丸となって、▶オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、電子処方箋や電子カルテ、自治体検診の情報を含む保健医療情報全般の共有・交換を可能にする「全国医療情報プラットフォーム」の創設、▶電子カルテ情報の標準化、▶診療報酬改定作業の大幅な効率化・低コスト化を図るための「診療報酬改定DX」―などを進める。医療法人・介護サービス事業者の経営状況の全国的な電子開示システムの整備にも取り組む。
なお、7日の閣議では、オンライン診療のさらなる普及などを盛り込んだ、「規制改革実施計画」も了承された。