厚生労働省は6月10日の診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会に、看護の処遇改善の点数設定のシミュレーション結果を報告した。5種類と100種類の2パターンで点数設定し、条件を変えた8モデルで算定点数の分布状況などを検証。その結果、100種類の加算点数を入院料のみ、あるいは入院料と初再診料の両方に設定し、施設単位で算定する2つのモデルが、処遇改善必要額とのギャップや医療機関間のばらつきが少ないことが判明。委員の多くが、この2モデルを軸に検討を重ねることを提案した。
シミュレーションでは、各対象医療機関における処遇改善必要点数を求め、そのデータを元に、▶20パーセンタイルごとに分割して5種類の点数を設定、▶より細分化して100種類の点数を設定―の2パターンで点数を設定。次に、この2パターンの点数設定方法を、▶施設単位で入院料に加算:モデル(1)、▶病棟単位(68区分の入院料ごと)で入院料に加算:モデル(2)、▶施設単位で入院料と初再診料に加算:モデル(3)、▶入院料は病棟単位、初再診料は施設単位で加算:モデル(4)─の4モデルに適用した計8モデルで試算を行った。
処遇改善の制度設計では、▶診療報酬による収入と処遇改善必要額の乖離や医療機関間のばらつきの最小化、▶事務負担に配慮したシンプルな仕組みづくり─の両立が大きな課題となっている。前者の実現にはきめ細やかな点数設定が理想だが、細分化が過ぎると事務負担が増大するからだ。
こうした点をふまえてシミュレーション結果をみると、処遇改善必要額とのギャップやばらつきは100種類の点数設定モデルが5種類モデルよりも小さいが、入院料の算定単位まで病棟単位に細分化すると点数の種類は最大で6815種類にまで膨れ上がる。
一方、各医療機関における処遇改善必要額と診療報酬による収入見込み額の乖離率が小さかったのは点数設定が100種類(初再診料の加算は15種類)、かつ施設単位で算定するモデル。特に(1)─2(入院料のみに加算)と(3)―2(初再診料にも加算)は、ほとんどの医療機関の乖離率が-5%~5%の範囲に収斂し、データのばらつきもこの2モデルが最も小さかった。このため分科会ではこの2モデルの支持が大勢を占めた。