中央社会保険医療協議会総会は6月15日、看護の処遇改善の賃上げルールなどについて議論した。委員からは賃上げ効果を継続させるため、処遇改善で得た収入の一定割合以上はベースアップに充当することを要件化すべきとの意見が多く出た。
賃上げルールで厚生労働省は、介護報酬における「介護処遇改善加算」の仕組みを参考に、現在実施中の「看護職員等処遇改善事業補助金」での取扱いも加味して検討することを論点として提示。処遇改善による収入の配分などでは加算、補助金とも、2/3以上を基本給または毎月支払われる手当の引き上げに充てることや、処遇改善計画書と処遇改善実績報告書の提出などを要件に定めている。
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、現場の混乱を避ける観点から補助金の仕組みを引き継ぐことを基本に検討を進めるべきだと指摘。吉川久美子専門員(日本看護協会常任理事)も補助金での要件を踏襲して、処遇改善による収入の全額を賃金に反映させることや、2/3以上をベースアップ等に充当することを要件化して欲しいと要望した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は一定割合以上のベースアップへの充当に加え、計画書や実績報告書の提出などの要件化も求めた。
一方、総会に先立って開かれた診療報酬基本問題小委員会では、処遇改善の対象となる基本診療料項目をどうするかが論点となった。診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会では、点数設定のシミュレーションが行われた8モデルのうち、診療報酬による収入見込み額と処遇改善必要額の乖離率や医療機関間のばらつきが少ない2モデル(点数設定を100種類とし、施設単位で算定)を多くの委員が支持。両者は対象基本診療料項目が異なり、分科会では患者負担の公平性の観点から、外来患者にも負担を求める初再診料を含めるモデルを推す意見が多かった。
これに対して基本小委では、「入院と外来では(患者負担の)受け止め方が異なる点に注意を払うべき」(城守委員)、「入院料のみのモデルのほうが患者負担が少なく、望ましいのではないか」(安藤伸樹委員・全国健康保険協会理事長)など、各側から初再診料を対象にすることへの慎重論が相次いだ。