胆囊癌は胆囊に発生する悪性腫瘍で,70歳代に多くみられる。胆囊癌の危険因子としては膵・胆管合流異常が知られている。胆囊癌と胆囊結石の直接的な因果関係は証明されていないが,胆囊癌の50~75%には胆囊結石が合併しているとされる。
特異的な症状はなく,検診で偶然に発見されることも少なくない。胆石由来の症状から診断される場合もあり,胆石症として手術をした際に病理検査で偶然指摘されることもある。高度に進行すると,胆管閉塞に伴う黄疸や,十二指腸や大腸の狭窄症状を伴うことがある。
特異的な血液検査所見はないが,腫瘍マーカーとしてCA19-9やCEAが頻用される。腹部超音波検査は簡便で,胆囊癌の正診率も高いが,胆囊壁肥厚や胆囊炎,胆囊ポリープとしてのみ描出されることもあり,Dy-CTやMRI(MRCP),超音波内視鏡などでの精査が必要である。一方,諸検査を行っても胆囊癌と確診しえないこともあり,診断と治療を兼ねた外科切除が必要なこともある。
胆囊癌の確診が得られたら,その進展度評価を行い,遠隔転移などの非手術因子がなければ,外科切除が第一選択となる。切除不能例では薬物療法を行う。薬物療法が効果を発揮し切除可能となれば,外科切除を行うこともある。黄疸のある症例では胆道ドレナージを行う。切除後はリンパ節転移陽性など再発高危険群に対し,薬物による補助療法を行っている。胆囊摘出後の病理検査で胆囊癌と判明した場合(偶発胆囊癌)は,その壁深達度に応じて追加切除を考慮している。
残り1,518文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する