厚生労働省は8月31日、2023年度の税制改正要望を公表した。主要項目では、地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編で特に公益性の高いケースを対象に、取得した建物に対する固定資産税の税率を軽減する措置の創設を要望。持分なし医療法人への移行を予定する認定医療法人の税制上の特例措置の期限延長や、移行期限の3年から5年への緩和なども盛り込んだ。
地域医療構想の関係では、厚生労働大臣が認定した再編計画(認定再編計画)に基づく医療機関の再編のために土地・建物を取得した場合に、登録免許税と不動産取得税の税率を軽減する措置が設けられている。このうち登録免許税の税率軽減措置が23年3月末で適用期限を迎えることから、厚労省は今回、25年3月末まで2年間の延長を求めた。
認定再編計画に基づく再編の中でも特に公益性の観点から必要性の高いケースについて、取得した建物のうち新築または増築したものに対する固定資産税の課税標準の価格を、現行の2分の1に軽減する優遇措置の創設も併せて求めた。
「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行計画について、厚労相の認定を受けた医療法人(認定医療法人)が対象の特例措置にも言及した。認定医療法人では、出資持ち分の放棄に伴って医療法人に課される「みなし贈与税」の納税をいったん猶予し、「持分なし医療法人」に移行してから一定期間経過後に免除する特例が設けられている。
だが、認定医療法人の中には、持分の放棄について移行期限内(大臣の計画認定から3年以内)に出資者の同意が得られず、特例を活用できないまま認定取り消しとなるケースも見受けられる。このため、厚労省は、▶持分なし医療法人への移行期限を計画の認定から5年以内に緩和する、▶医療法人に課されるみなし贈与税等(出資持分を相続した相続人に対する相続税なども含む)に対する特例措置の適用期限を現行の23年9月末から26年9月末に延長する―ことを要望した。