精神科に通院なさる患者さんの中には家族との関係性が悪い人も少なくない。どうにか助けにならないかと資料を漁った折、フィンランドでは家族を対話の場に招くとあった。
ひとみさん(仮名、24歳女性)は抑うつ状態になって会社に行けなくなった。外来で何度かお会いしてもなかなか回復しない。ひとみさんには休息が必要だったのだが、家であまり休めていないようだった。「家では笑いません」「両親は私が元気だと分かるとそろそろ会社はどうか?と聞いてきます」「休んでいることを責められているように感じてしまう」。
私はひとみさんのご両親に、私から休息が必要なことをお伝えできれば、と思いご両親を外来に招く提案をした。ひとみさんは来るとは思えないと話していたが、1週間後にご両親は会社を休んでいらしてくださった。全員とても緊張した表情をしていた。私も緊張していた。
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