株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 24年度診療報酬改定に向けた実調の議論を開始へ―中医協総会が了承

No.5139 (2022年10月22日発行) P.70

登録日: 2022-10-12

最終更新日: 2022-10-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

中央社会保険医療協議会総会は10月5日、2024年度の次期診療報酬改定に向けた医療経済実態調査について、調査実施小委員会で議論を開始することを了承した。調査実施小委では、▶調査項目の見直し(単月調査、新型コロナウイルス感染症関連の調査項目等)、▶有効回答率の向上策―などを議論。その後、23年6月を調査月として調査を実施し、同年11月中旬を目処に結果を総会に報告する予定だ。

この日は、実調のデータを用いた公的価格の見える化分析についても議論した。内閣府の「公的価格評価検討委員会」の提言を受けたもの。委員会の中間整理では、国民の保険料や税金が医療や介護などの分野で効率的に使用され、現場で働く人たちの収入として広く行き渡っているかを確認するための方策として、費用の使途の見える化を求めている。

厚生労働は今回、実調の既存データを使って、①人件費以外の費用や積立金、②人件費の職種間の配分状況、③収入・支出および資産の関係―を試行的に分析した結果を総会に提出した。それによると、一般病院と一般診療所は人件費が費用の5割以上を占め、公立の一般病院はほかの経営主体の一般病院に比べて人件費割合が大きく、医師、看護師の月収も多かった。また、一般診療所の看護職員の月収には偏りがあり、半数以上の施設が全産業平均を下回っていた。

■全数調査でない実調で経年変化の把握は困難-診療側長島委員  

ただ、実調を公的価格の見える化分析にそのまま転用することに対しては、慎重な検討を促す委員が多かった。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、実調の調査内容が基本的な項目に限られていることや、全数調査ではなく、経年的な動向の把握が難しいことなどを理由に、「今回のような使用目的には適しておらず、一定の限界がある」との認識を示した。

支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、実調では職員の年齢や勤続年数まで把握できていないため、人件費の職種間の配分状況の分析には留意が必要だと指摘。松本真人委員(健康保険組合連合会理事)もこれに同調し、「最終的にどのような費用構造がいいのか、デジタルの活用による生産性の向上も含めて分析の切り口を深掘りする必要がある」と述べた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top