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急性中耳炎[私の治療]

No.5140 (2022年10月29日発行) P.46

有本友季子 (千葉県こども病院耳鼻咽喉科部長)

登録日: 2022-10-31

最終更新日: 2022-10-25

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  • 急性中耳炎は「急性に発症した中耳の感染症で,耳痛,発熱,耳漏を伴うことがある」と定義される。小児に多いが,成人でも発症することがある。感冒や急性鼻副鼻腔炎罹患時等の上気道炎に伴って発症しやすい。

    ▶診断のポイント

    鼻汁,咳嗽等の上気道炎症状に続き,発熱や耳痛を伴うことが多い。乳児では夜泣きと発熱のみのこともある。中耳の膿汁貯留で鼓膜が膨隆し鼓膜穿孔を生じると耳漏となる。成人では難聴や耳閉感を自覚することも多い。鼓膜所見(鼓膜の発赤・膨隆,中耳膿汁貯留透見,耳漏等。ただし,一部のこともある)が診断の決め手となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方 

    急性中耳炎では中耳に膿汁貯留を認めるが,起炎菌が重要である。可能な場合は,耳漏採取,もしくは鼓膜切開を行い中耳の膿汁を採取し,細菌培養を行う。小児急性中耳炎では,インフルエンザ菌や肺炎球菌が検出されることが多い。細菌培養の結果が判明するまでは,薬剤性アレルギーの有無を確認し,可能な例では中耳移行性が良好で殺菌作用の強いペニシリン系抗菌薬(AMPC,CVA/AMPC)が第一選択薬となる。

    細菌培養結果から,起炎菌に感受性のある抗菌薬を選択し投与する。同時に,鼓膜穿孔部や鼓膜切開口から中耳洗浄を反復し中耳の細菌量を減らすことで,より抗菌薬の効果が生じやすくなる。洗浄の際は薬剤の耳毒性に注意し,生理食塩水や,生理食塩水で2倍に稀釈したオキシドール等を使用する。小児で急性中耳炎を短期間に反復し,次の急性中耳炎罹患までに滲出性中耳炎が遷延する例では,十分な中耳洗浄後の鼓膜換気チューブ留置や,状態に応じて抗菌薬治療や中耳洗浄を行うと効果的である。

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