編著: | 白馬伸洋(帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科 科長・教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 312頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2023年05月21日 |
ISBN: | 978-4-7849-2465-3 |
版数: | 第1版 |
付録: | 解説字幕付き動画144本。無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると,本書の全ページを閲覧できます)。紙面の随所に動画二次元コードを配置。 |
●短期入院のための工夫や侵襲の少ない手術操作のポイントが満載です。
●圧巻のWeb動画144本。紙面と動画を相互に繰り返し参照することで,効率良く理解を深めることができます。
●各領域のエキスパートの先生方に,“競演形式”でご執筆いただきました。同じ疾患でもエキスパートの先生によってアプローチ法に違いがあることを学び,読者ご自身にとって有益な手技や工夫をぜひ見つけてください。
●手術手技の向上をめざす若手~ベテラン医師に広くおすすめです。「入院期間を短縮したい」,「患者さんの負担が少ない手術手技を身につけたい」,「エキスパートの先生方の手術操作を学びたい」といったお悩みを解決します。
目 次
1章 耳科の手術
1 弛緩部型真珠腫に対する鼓室形成術
①外耳道後壁保存型鼓室形成術における段階的鼓室形成術の選択(岩永迪孝)
②外耳道後壁保存型鼓室形成術における外耳道後壁保存の工夫(佐藤進一)
③外耳道後壁保存型鼓室形成術におけるanterior routeの有用性(河野浩万)
④弛緩部型真珠腫に対するTEES(水足邦雄)
2 緊張部型真珠腫に対する鼓室形成術
①外耳道後壁保存型鼓室形成術(白馬伸洋)
②緊張部型真珠腫に対する骨部外耳道後方拡大と経外耳道的上鼓室開放術(須納瀬弘)
③局所麻酔下の鼓室形成術(松田圭二)
④TEES(欠畑誠治)
3 慢性中耳炎に対する鼓室形成術
①over-underlay法とendoscopic inlay butterfly cartilage tympanoplasty(田中康広)
②underlay法(接着法)の応用とinlay法(湯浅 有)
③内視鏡を併用した経外耳道的顕微鏡下鼓室(鼓膜)形成術(石井賢治)
4 耳硬化症に対するアブミ骨手術
①髙木法によるアブミ骨手術(髙木 明)
②入院設備を持たない施設での局所麻酔によるアブミ骨手術(細田泰男)
③TEESによるアブミ骨手術(小林泰輔)
2章 鼻科の手術
1 慢性副鼻腔炎に対するESS
①篩骨蜂巣の開放から前頭窩~鼻前頭管の開放を中心に(松根彰志)
②全身麻酔下の標準的な篩骨洞を中心としたESS―篩骨蜂巣の前,後群の安全な開放(村上亮介)
③全身麻酔下のESS―経排泄路篩骨洞手術(黄川田徹)
④全身麻酔下のより広範囲なESS(Ⅲ,Ⅳ型)(田中秀峰)
⑤短期入院(日帰り・1泊2日)でのESS(松脇由典)
⑥局所麻酔下の日帰りESS―オフィスサージャリーの局麻下ESSでどこまで攻められるか(石戸谷淳一)
⑦慢性副鼻腔炎に対するESS(Ⅳ,Ⅴ型)(中川隆之)
2 好酸球性副鼻腔炎に対するESS
①好酸球性副鼻腔炎に対する手術(坂本達則)
3 鼻中隔弯曲症・肥厚性鼻炎に対する内視鏡下手術
①全身麻酔下の鼻中隔矯正,下鼻甲介手術(洲崎勲夫)
②局所麻酔下の鼻中隔矯正,下鼻甲介手術(若山 望)
4 アレルギー性鼻炎に対する内視鏡下手術(後鼻神経切断術を含む)
①全身麻酔下の内視鏡下鼻腔手術(小町太郎)
②後鼻神経切断術(唐木將行)
3章 喉頭の手術
1 声帯ポリープ・声帯結節・ポリープ様声帯に対するラリンゴ
①マイクロフラップ手術(平野 滋)
②局所麻酔下手術(多田靖宏)
③プロフェッショナルボイスユーザー(望月隆一)
2 痙攣性発声障害に対する音声改善手術
①内転型痙攣性発声障害に対する音声改善手術―甲状軟骨形成術Ⅱ型(讃岐徹治)
3 麻痺に対する音声改善手術
①喉頭枠組み手術(松島康二)
②音声改善手術・脂肪注入術(千年俊一)
索引
昨今は医療費削減のために,どの施設でも入院期間を短くすることはとても重要ですが,そのためには何より副損傷が生じない慎重かつ丁寧な操作が求められます。侵襲の少ない手術は短期入院に繋がります。短期入院は患者さんにとっても非常に喜ばしいことです。短期入院で済むような侵襲の少ない手術操作が可能な術者こそ,私は“エキスパート”であると考えています。その意味を込めて,本書のタイトルは『エキスパートによる 短期入院のための耳鼻咽喉科手術手技』としました。各領域のエキスパートの先生方に,数々の手術手技について解説していただいています。
日帰り手術や2泊3日の短期入院での手術を行われている施設のエキスパートの先生であっても,術後1週間近くは入院していただく施設のエキスパートの先生であっても,短期入院のための工夫を前面に述べていただき,侵襲の少ない手術操作のポイントについて明記していただいています。
このように,本書のコンセプトは,入院期間を短縮し,患者さんの負担を少なくするべく低侵襲な手術を行うためには,それぞれのエキスパートの先生方がどのような手技で手術されているのか,また,入院に際してはどんな工夫をされているのかを学んでもらうことです。あえて,“競演形式”で執筆していただきました。同じ疾患でもエキスパートの先生によってそれぞれアプローチ法に違いがあることを読者に知ってもらい,そのなかから読者自身の判断で有益な手技や工夫を身につけてもらうことが本書・編者のねらいです。
エキスパートの先生方の術式はそれぞれ十人十色であり,どの色が一番であるかは読者それぞれの好みであると思います。読者にとって十一番目の“新たな色”が生まれるような教科書を目指して作りました。読者の最終目標(ゴール)となるような手術手技の数々に触れていただき,新しい手術手技への道筋になることを心より願っています。
2023年4月
帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科 科長・教授
白馬伸洋