神奈川歯科大学(鹿島勇理事長)は12月20日、都内で記者会見を開き、医療系大学初の試みとして、認知症診療と歯科医療を組み合わせた医科歯科連携のクリニックを日本橋三越本店(東京・中央区)に開設すると発表した。
近年、アルツハイマー病(AD)患者の脳内から歯周病原因菌(P.gingivalis)が検出されるなど、歯周病が認知機能低下に関与していることを示唆する報告が相次いでいる。
神奈川歯科大学が新たに開設するクリニックは、歯科大学でありながら認知症の専門医を擁する特徴を活かし、認知症の早期発見とともに歯周病の早期治療を進め、脳機能を維持することをコンセプトとする。
会見の中で、同大学の認知症・高齢者総合内科教授で日本認知症学会専門医の眞鍋雄太氏は、2023年中の承認を目指してAD疾患修飾薬レカネマブの開発が進められている状況などを踏まえ、「ADに関しては、未病の段階で発見すれば発病させないで済む時代が来年以降来る。歯周病菌の問題についてもエビデンスが蓄積されており、未病の段階で徹底的にコントロールすれば発病を防ぐことができる」と強調した。
クリニックでは認知症の治療は行わず、診断・予防に特化する。眞鍋氏は、通常の認知症の診察・検査に加え、研究段階にあるアミロイドβを直接評価する血液検査などの最新技術も活用し、AD早期診断のため最善の医療を提供すると説明した。
クリニックは2023年3月25日、日本橋三越本店新館5階に開院する予定。歯周病など口腔疾患に関しては治療まで行い、脳機能維持のために東洋医学(鍼灸)も取り入れるが、保険は扱わず、すべて自由診療とする方針。