厚生労働省は2月27日の電子処方箋推進協議会の初会合で、2025年3月末までにオンライン資格確認に対応している全ての医療機関・薬局への電子処方箋の導入完了を目指し、今年9月以降、普及の取組を加速させる方針を示した。
同省によると、全国の電子処方箋運用開始施設は2月19日時点で648施設(うち病院6施設、医科診療所38施設)。これまでのところシステム・運用面での大きなトラブルはない一方、▶オンライン資格確認導入への対応によるシステムベンダの逼迫が続き、システム改修が進まない、▶申込をしたのに電子署名に必要なHPKIカードが届かない、▶地域によっては医療機関と薬局のいずれか一方の運用が開始されておらず、現時点では利用に結びついていない―などの課題も明らかになっている。
このため同省は対応策として、(1)電子処方箋に対応しているシステムベンダ名の公表やリモートによるシステム導入の活用、(2)HPKIカード発行体制の強化、(3)HPKIファストトラック窓口(申請サイト)を社会保険診療報酬支払基金に設置―などを実施予定であることを協議会に報告した。
(3)では、▶システム改修が完了している、▶カードが到着次第、運用体制上も遅滞なく電子処方箋の運用を開始できる、▶申請から1カ月以上経過している―などの要件を満たす施設を対象に、HPKIカードを早期発行する仕組みを創設。3月から申請受付を開始する。スピードを優先するため発行枚数は必要最低限にとどめ、診療所は医師1枚、病院は3枚を上限とする。
患者が電子処方箋を実際に利用できる地域数を増やすための方策として、導入意欲が高い医療機関と薬局が同一市区町村内に一定数存在する地域を洗い出し、国が優先的に早期導入を働きかける取組も進める。
電子処方箋について政府は、25年3月末を目途に、オンライン資格確認に対応した概ね全ての医療機関への導入を完了する目標を掲げており、厚労省は今後3つのフェーズに区切って段階的に普及を促進する。このうち、オンライン資格確認導入義務化の経過措置が概ね終了する今年9月以降を第2フェーズと位置づけ、システムベンダに改修余力が出てきたタイミングで全国での普及拡大を加速化する考えだ。