日本医師会主催の医療情報システム連絡協議会が2月25~26日、「医療DX2023 DX推進の現状と将来の展望」をテーマに日医会館で開催された。
冒頭で講演した長島公之常任理事は、日医が目指す医療DXは「国民・患者により安全で質の高い医療を提供するとともに、医療機関の負担を減らすこと」と定義。そのうえで、政府の医療DX推進本部で昨年10月に提起された全国医療情報プラットフォーム(オンライン資格確認等システムを拡充して医療、介護全般のデータを共有できる全国的なプラットフォーム)について、「日医が長年切望してきたことで、普及に全面的に協力したい」と表明した。
長島氏はさらに、医療DXを進めるうえでの留意点として、「医療提供に混乱・支障が生じては本末転倒。有効性と安全性を確保したうえで、 利便性、効率性の実現を目指すべき」と強調。特に国が行うべきこととして、①基盤整備、②標準化、③サイバーセキュリティ対策、④業務・費用負担軽減―の4点を挙げた。
協議会ではオンライン資格確認、電子処方箋、診療報酬改定DX、サイバーセキュリティなど広範囲にわたって議論が行われた。
このうちサイバーセキュリティのシンポジウムでは、内閣府サイバーセキュリティセンターの結城則尚情報セキュリティ指導専門官が現状を解説。近年、ランサムウェア感染による実害が看過できない状況にあると述べながら、「管理を適切にすれば防止できる事案が繰り返されている。(対応を個人に任せるのではなく)これからは組織全体で対応しなければならない時代になった」と指摘した。
この問題について日医の井川智彦情報システム課長は、日本医師会サイバーセキュリティ支援制度(サイ窓)があることを紹介、その活用を呼び掛けた。