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腎不全の際のより安全な向精神薬の使い方は?

No.4819 (2016年09月03日発行) P.62

竹田徹朗 (獨協医科大学越谷病院腎臓内科教授)

登録日: 2016-10-19

最終更新日: 2016-10-19

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  • 定腎不全の際の向精神薬の使い方(より安全なもの,投与量,禁忌等)について教えて下さい。

    (質問者:新潟県 H)


    【回答】

    向精神薬は,広義には「精神に向かっていく薬」のことであり,数多くの薬剤が含まれます。狭義には「精神疾患を治療する薬」を意味しますが,向精神薬に精通していない一般内科医でも不安や抑うつ状態にある腎不全患者に用いることがあります。抗うつ薬や抗不安薬,睡眠導入薬はそれぞれ独立して扱われることが多いため,本問は「精神病に対抗するように作用する薬」に関するものとして回答させて頂きます。

    まず,一般的に神経に作用する薬は脂溶性で,主な代謝経路は肝臓であることが多く,薬物動態上,腎不全患者でも減量の必要のないものが多いとされます。しかし,腎不全患者では感受性の亢進や代謝物の蓄積がありうるため,減量するのが無難です。尿毒症になると不快感,傾眠傾向,脳症が容易に起こり,疾患自体の症状か治療薬による副作用か,鑑別困難なこともあります。ゆえに添付文書上,重度の腎障害で禁忌とされている薬剤(フェニトイン,フェノバルビタール,クロザピン,炭酸リチウム等)は,よほど使い慣れていない限り,処方しないに越したことはありません。また,フェノチアジン系抗精神病薬や三環系抗うつ薬は過剰な鎮静を起こしやすく,要注意です。

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